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Macintosh SE/30をいつまでも楽しむために

追加記事 1

このページの構成

  1. 40SC 電源ユニット改修
  2. Daystar PowerCache SE/30 搭載
  3. AppleCD SC Plus 電源ユニット改修
  4. SE/30電源ユニット 総チェック
  5. HDL-F300によるファイル共有環境

1. 40SC 電源ユニット改修

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SE/30-Aに外付けしている40SCのHDDがマウントされなくなってしまいました。

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40SCの電源ユニットは、SONY CR-43。
HDD電源12V/5Vと冷却ファン用12Vを供給しています。

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40SCの電源を入れても、HDDのアクセスLEDが点灯せずHDDも反応しません。
冷却ファンもカクカク動くだけで回ることができません。(1-5)
SE/30-Cから電源を供給した状態で確認すると、HDDも冷却ファンも正常に作動します。(1-6)

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基板全体に液漏れの痕跡が見受けられます。

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10V 2200μFと15V 2200μFの2本の大容量の電解コンデンサが液漏れを起こしているようです。
黄色丸印が当該コンデンサのランド部です。

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当該コンデンサと基板腐食部の位置関係です。

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念のため、12本すべての電解コンデンサを新品に交換して確認してみました。
改善効果は認められましたが、LEDの点灯やファンが回り出してHDDが反応するまでに時間がかかる場合もあり、不安定です。
また、電源ユニットに蓋を被せると電源ユニットからカタカタという異音がして、HDDが起動しなくなります。

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異音は赤丸印を付けたトランスの頭部と蓋の部分の磁気干渉によるものらしく、両者間の距離を5mm以上離さないと影響を受けてしまいます。
詳しいことは分かりませんが、液漏れによりトランス回りも損傷していると考えられます。(1-9、1-10)

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結局、オリジナル品の改修は諦めて、汎用のACアダプターを組み込むことにしました。
DC 5V〜1.5A/12V〜1.0Aが供給できるI-O DATAの「IO-ACADP1510A TAS0800」をヤフオクで購入し、AC電源コード側は切断してオリジナルのAC電源スイッチ回路に接続、DC電源コード側も切断してHDD用の12V/5Vと冷却ファン用の12Vを引き出してそれぞれコネクターで結線しました。
電源ユニットに蓋をして40SCを元通りに組み上げて電源ON。
すぐにファンが回り出し、LEDも点灯、HDDもテキパキと起動するようになりました。

2. Daystar PowerCache SE/30 搭載

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探していた Daystar PowerCache SE/30 を中古市場で購入することができました。
MC68030/50MHz CPU+32KBキャッシュ付きのSE/30専用アクセラレータです。

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裏側には、PGAソケット(13x13)に挿すピン128本が立っています。

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こちらは、PowerCache SE/30を装着するSE/30-Cのロジックボードです。
オリジナルのCPUをPGAソケットから抜き取った状態です。

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抜き取ったオリジナルのCPU MC68030/16MHzです。

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PowerCache SE/30の124本のピンをロジックボードのソケットに差し込んで装着します。

2-10: オリジナル(参考)
2-11: インストールディスク

今回の製品には以下のソフトウェアデータが添付されていました。
 Power Central --- コントロールパネル書類
 PowerDemo --- CPUテスト用アプリ
オリジナルの写真を見つけたので、それっぽいインストールディスクを作成しました。
ソフトウェアは以下の場所からもダウンロードが可能です。
 [参考情報]DayStar PowerCentral (rel 7) - Macintosh Repository

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SE/30-Cのアイコンパレードです。
最後尾にPower Centralのアイコンが追加されました。

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コントロールパネルから「Power Central」を開きます。
キャッシュもコプロも認識されて「ON」の状態になっています。

2-14: オリジナル(参考)
2-15: バックアップFD

「PowerDemo」で250個の☆印を描画するテストを行ない、時間を比較してみました。
左がキャッシュとコプロを共にONにした場合の結果で、8.90秒。
右がキャッシュとコプロを共にOFFにした場合の結果で、92.73秒。
このテストに関しては処理速度が10倍以上速くなっています。

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「Speedometer」でもテストを行なってみました。

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同じSE/30-Cに対する、左がPowerCache装着前、右がPowerCache装着後の結果です。
CPUで3倍、Mathでは6倍程度の速度が得られています。

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参考までに、SE/30-B DiiMO 030の結果です。
PowerCacheとDiiMO 030はほぼ同等と言えそうです。

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同様に、SE/30-A Turbo 040 (40MHz)の結果です。
68040だけあってPowerCacheやDiiMO 030と比べると概ね2倍の速さになっています。

3. AppleCD SC Plus 電源ユニット改修

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SE/30-Cの座布団にしているAppleCD SC Plus(中身は300i Plus)も、前出の40SCと同じ電源ユニット「SONY CR-43」を使用しています。
当然ながら、電源の劣化が気になるところです。

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40SCのものと較べると基板はキレイにしており、液漏れの痕跡などもありません。
しかし、発生電圧をテスターで調べてみると、+5V電圧は4.94Vありましたが、+12V電圧は10.32Vに低下していました。
可変抵抗器RV201で+12Vが12.00Vになるように調整すると、+5V側が5.69Vとかなり高め(+約14%)になってしまいます。
電解コンデンサの交換と電圧の微調整で当面は凌げるかも知れませんが、ここは早めに手を入れておくことにしました。

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40SCと同様にACアダプター「IO-ACADP1510A TAS0800」による置き換えを行ないました。
簡便ですが、安定的な電源を供給するには確実な方法だと思います。

4. SE/30電源ユニット 総チェック

4-1: SE/30-A と SE/30-B
4-2: SE/30-C

現在使用している3台のSE/30は、以下のような仕様(使い分け)になっています。
【SE/30-A】
  電源ユニット: ASTEC製オリジナル(76W)
  ロジックボード: CPU直付け式
  メモリ: 68MB(16MBx4 + 1MBx4)
  ROM: SE/30 オリジナル ROM SIMM
  拡張カード1: Daystar Turbo 040 40MHz
  拡張カード2: Interware Vimage
  外付け機器: Apple HD 40SC
【SE/30-B】
  電源ユニット: SONY製オリジナル CR-44(75W)
  ロジックボード: CPUソケット式
  メモリ: 68MB(16MBx4 + 1MBx4)
  ROM: IIsi ROM SIMM
  拡張カード1: DiiMO 030 50MHz for SE30
  拡張カード2: Micron Xceed Color 30HR 及び Grayscale Adapter
  外付け機器: Floppy Emu (仮想HD20)
【SE/30-C】
  電源ユニット: Stratos製強化電源ユニット(145W+45W)
  ロジックボード: CPUソケット式
  メモリ: 32MB(4MBx8)
  ROM: IIfx ROM SIMM
  拡張カード1: Daystar PowerCache 33MHz for SE/30
  拡張カード2: Asante MacCon3 for IIsi
  外付け機器: AppleCD SC Plus(中身は300i)、OLYMPUS CMO100FMA

メモリや拡張カードの増設に加え、ロジックボードの劣化による内部損失の増大などもあり、電源ユニットにはかなりの負担になっていると思われます。
そのため起動時に、起動音が鳴らなかったり、再起動が掛かったり、サッドマックが出ることもあります。
そこで、各マシンについて+5V電圧と起動安定性の関係を調べてみました。

4-3: メインハーネス J12側コネクタ
4-4: 無負荷時+5V電圧

無負荷時電圧は、メインハーネスのJ12側コネクタ部で測定しました。

4-5: J12コネクタ ロジックボード裏側
4-6: 負荷時+5V電圧

負荷時電圧は、起動後のロジックボードJ12コネクタの基板裏側端子で測定しました。

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SONY製の電源ユニットを使用しているSE/30-Bが最も安定しているという結果になりました。
可変抵抗により、無負荷時電圧を高めの+5.25Vに設定してあるのが効いているようです。
SE/30-AとSE/30-Cは負荷時の電圧が+4.6V以下まで低下し、起動が不安定になるケースが確認されました。

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SE/30-AとSE/30-Cの電源ユニットをFlex ATX電源(250W)に交換改修することにしました。
その結果、SE/30-B並みの電圧が確保され、起動も安定傾向になりました。
もちろん、これによりロジックボードの劣化などに起因する問題がすべて解消された訳ではありません。

以下、前後しますが、電源ユニットの改修内容についての説明となります。

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改修には、コンパクトで250W出力のFlex ATX電源ユニットを用いました。
電源ユニットの選定理由や改修内容については、丸真商店さんの下記ページに詳しく載っていますので、そちらをご一読ください。
 [参考情報]なんちゃってSE/30強化電源ユニット(250W)の製作 - marushin

【SE/30-A 改修内容】

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SE/30-Aに使用している電源ユニットはASTEC製です。
基板は2個のM3ネジで電源ケースに固定されています。
基板にハンダ付けされた100V用の2本のケーブルとアース線も外して、基板部を取り出します。

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片面ガラス・ユニバーサル基板2.54mmピッチ(210x155mm)を電源ケースの寸法に合わせてハンディソーでカットします。
基板には、基板固定用の穴を2つと、Flex ATX基板マウント用の穴を3つあけます。
樹脂スペーサ5mm M3 3個を樹脂ナットM3で基板に立て、基板を電源ケースにM3ネジ2個で取り付けます。

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組み込みに先立って、Flex ATX電源側の改修を行なっておきます。
24ピンコネクタ部で24本の線を切り、青1本、黒5本、赤2本、黄2本の線を使って、10Pメスコネクタを作成します。
使わない線は邪魔にならないように短くカットしてまとめておきます。

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このままでは電源が入りませんので、基板上で結線を行なっておく必要があります。
作業を行なうため、基板を固定している3個のM3ネジを外して裏面を出します。
24ピンコネクタの16番の緑の線のランド(黄色の小さな丸)とアース線の集まったランド(黄色の大きな丸)をリード線で繋ぎます。

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4PメスコネクタはHDD電源用と予備用として2個とも残しておくことにしました。
あとは、100V用のリード線をこのように整理して組み込み準備完了です。

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ベース基板の上に載せて、結線を行ないます。
基板固定用のビスは樹脂スペーサに合わせて樹脂のM3ビスを使用しました。
冷却ファンはこのように配置して両面テープでベース基板に固定しました。

【SE/30-C 改修内容】

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SE/30-Cに使用している電源ユニットは、SONY製電源ユニットの中身をStratos製強化電源ユニットに置き換えたものです。

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Stratos製強化電源ユニットはケース底部に開けた6個の穴を利用してネジで固定してあります。
元の基板を固定していたネジ穴3箇所は使用せずにそのまま残っています。

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取り出したStratos電源ユニットの基板(大と小)と樹脂製のシートです。

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SE/30-Aの場合と同様に、片面ガラス・ユニバーサル基板2.54mmピッチ(210x155mm)を電源ケースの寸法に合わせてハンディソーでカットします。
基板には、基板固定用の穴を3つと、Flex ATX基板マウント用の穴を3つあけます。
樹脂スペーサ5mm M3 3個を樹脂ナットM3で基板に立て、基板を電源ケースにM3ネジ3個で取り付けます。

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Flex ATX電源ユニット基板はSE/30-Aの場合と同様の手順で準備しておきます。
それをベース基板の上に載せて、結線を行ないます。
基板固定用のビスは樹脂スペーサに合わせて樹脂のM3ビスを使用しました。
冷却ファンはこのように配置して両面テープでベース基板に固定しました。

【SE/30-B 参考】

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SE/30-Bに使用している電源ユニットはSONY製のCR-44です。
これはそのまま継続使用します。

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水色の樹脂製のツマミを+ドライバーで回して電圧を調整することができます。
+5V電圧は無調整で+5.25Vになっていましたので、ユニットとしての劣化もないようです。

5. HDL-F300によるファイル共有環境

5-1: 現状のファイル共有環境
5-2: I・O DATA HDL-F300

現環境では、SE/30とVAIO間のファイルのやりとりはPismoを介して行なう形になっています。
記事を読まれた方から、AppleShareとSMBが共有できるので良かったら使ってみて下さいと、I・O DATAの「HDL-F300」が送られて来ました。
しかも、鎌倉からの贈り物には緩衝材として「鳩サブレー」も同梱されていました。
お言葉に甘えてしまって、たいへん恐縮です。
さっそく、セットアップしてみることにしました。

5-3: I・O DATA HDL-F300 (背面)
5-4: 設置状態

追加HDD用のUSBポートが3つありますが、ここでは内蔵HDD(300GB)のみを使用します。
本機とWi-Fiルーターを1本のLANケーブル接続するだけです。
設置場所はLenovoの外部モニターの背後に、Wi-Fiルーターと並べて置くことにしました。
電源ボタンを押して約2分でSTATUSランプ(緑)が点滅から点灯状態になりました。

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HDL-F300が「LANDISK」というデバイス名で認識されました。
ブラウザからアクセスして機器の設定を行なうためにIPアドレスを知る必要があります。
ところが、デバイスのアイコンを右クリックしてもプロパティという項目がありません。
プロパティでIPアドレスが調べられたような気がしますが、記憶が定かではありません。

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仕方がないので、NetEnum5をインストールしてIPアドレスを検索しました。
1行目がWi-Fiルーターで、2行目がHDL-F300です。

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ブラウザを開いて、HDL-F300のIPアドレスにアクセスします。
「管理者用設定ページを開く」に入り、各設定を行ないます。

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「共有フォルダ管理」で、共有フォルダ名を「Archives」に変更しました。
あと、 以下の2つの項目にチェックを入れました。
   ☑ Microsoftネットワークファイル共有
   ☑ AppleShareネットワークファイル共有

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VAIOの「Archives」に置いてあるMac関連のアーカイブデータを共有フォルダの「Archives」に移動(取り敢えずコピー)しました。
項目数は200程度ですが、CDやDVDのディスクイメージもあるので容量は約110GBあります。
準備が終わったので、各Macマシンから共有フォルダにアクセスしてみました。

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SE/30からは「セレクタ」のAppleShareで「landdisk」が見えました。
「Archives」をマウントしてアーカイブにアクセスできます。

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次にPismoです。
Mac OS 9環境からは同様に「セレクタ」のAppleShareで共有できます。
Mac OS X環境からは「サーバへ接続」してIPアドレスを打ち込むだけです。

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MacBookからも同様に「サーバへ接続」でアクセスできました。

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これにより、中継機のPismoを起動しなくても、各マシンからAppleShare、SMB、AFPで直接「Archives」のデータにアクセスできるようになるので、格段に自由度が増えます。
インターネットに繋ぐと通信速度が遅い、常用サーバにするにはファン騒音が気になる・・・
この古い機器に過度な要求をしても仕方ありません。
プライベートネットワークの中で必要な時にだけ使うこの環境は、ベストマッチだと思います。

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今回の設定作業の中で問題になったのは、やはりLocalTalkとEthernet間の接続性でした。
ここでも述べたように、LocalTalkとEthernetを繋いでいるAsanteTalkが、環境が変わったことで機器をうまく認識できなくなってしまったようです。
AsanteTalkは、向かって右側のBOZEのスピーカーの後ろに頭が覗いています。
電源プラグ、LocalTalk側コネクタ、LANケーブルの抜き差しを試しましたがうまくいきません。
そこで、Ethernet側をLANを介さず直結してみることにしました。
機器の接続や通電はそのままの状態で、Ethernet側のLANケーブルを外し、AsanteTalkとPismo間をクロスケーブルで繋ぎます。
その状態で電源プラグを一旦抜いてから挿し直すと、一発でSE/30とPismoが相互に見えるようになりました。
機器の設定が成功する時は、TXとRXのランプが同時に激しく点滅するようです。
うまく認識できたら、クロスケーブルを外して、元のようにLANケーブルを繋ぎます。
その状態で電源プラグを一旦抜いてから挿し直すと、うまく接続状態が維持されました。


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