753Note

5. Works

5-4. Qemu

このページの内容

  1. Qemuのビルド
  2. 確認の進め方
  3. Mac OS 9.1
  4. Mac OS 9.2.2
  5. Mac OS X 10.0
  6. 考察
  7. まとめ

1. Qemuのビルド

Qemuのビルドについては下記を参考にしました。
 [参考情報]Qemu Build - Emaculation
ここでは(19-08-2020)のビルドを使用しています。
それ以降のバージョンについては確認していません。

Works/Qemu/
1-1: Works側のQemu

Works側のQemuフォルダです。
ここに、Qemuをアーカイブからビルドしていきます。

Archives/Emulator/Qemu/
1-2: Archives側のQemu

こちらは、Archives側のQemuフォルダです。
「Qemu-Win64-5.1-19-08-2020.zip」をダブルクリックで展開して、
中身をすべてWorks側にコピーします。
それだけです。

Works/Qemu/
1-3: Works側のQemu

Qemuのビルドです。
49項目ありますが、絵は下半分が見えているような状態です。

2. 確認の進め方

QemuでMac OS 9.0〜OSX 10.4が扱えることを知ったのはけっこう後になってからです。
SheepShaverとPearPCによる確認の方が先行したので、ここではそれらではカバーできなかったMac OS 9.1、Mac OS 9.2.2、Mac OS X 10.0についてだけ確認します。

Qemuの使い方に関する最新の情報は下記にあります。
 [参考情報]Qemu Guide - Emaculation
尚、私が実際に参考にしたものはこちら mht(Updated August 12, 2020)になります。
Mac OS 9.2に関するインストール例が示されているだけで、あとはフォーラムの英文記事の中から情報を得るしかありませんでした。
なるべく簡単な実行コマンド「qemu.bat」で、基本的な確認だけ行なう方針にしました。

3. Mac OS 9.1


「Mac OS 9.1」というフォルダを作成し、そこにビルドを収めました。

[CDからの起動]
あと準備するものは、Mac OS 9.1のインストールCDとインストール先のHDDです。
CDのisoイメージは「Archives」に「Mac OS 9.1 CD.iso」として作成済みですので、それを作業フォルダに持って来ます。
名前はブランクなしにする必要があり、統一性も考慮して「macos910.iso」に変更しました。

3-2

あとはHDDの方です。
コマンドプロンプトを起動して、作業フォルダ内で下記コマンドを実行します。
  qemu-img.exe create -f raw -o size=2G macos910.img


CDとHDDが準備されました。

作業フォルダにある「qemu.bat」というファイルを右クリックから「編集」で開きます。

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これがオリジナルですが、CDとHDDの名前を変更する必要があります。

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このように変更したら、保存して閉じます。
「qemu.bat」をダブルクリックして実行します。

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CDから起動しました。

[Mac OS 9.1のインストール]

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インストーラは見えていますが、インストール先のHDDがありません。
「ユーティリティ」の「ドライブ設定」を開きます。
尚、マウスのカーソルをQemuの画面から抜け出させるには、画面枠に表示があるように"Press Ctrl+Alt+G to exit grab"です。

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<未初期化>となっているボリュームを選択して「初期化」。
確認画面で、再度「初期化」を行なうと、

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デスクトップに「名称未設定」のボリュームが現われます。
名称をディスク名に合わせて「macos910」とします。

ここからは通常のインストール手順になりますので説明は省略します。

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インストールが完了したら「終了」。
「特別」メニューから「システム終了」します。

[HDDからの起動]

3-15: qemu.bat 編集前

再度「qemu.bat」を「編集」で開きます。上は現在の編集前の状態です。
・HDDから起動させるために、
 1行目の「-boot d」を「-boot c」に変更します。(ん?)
 2行目(CD)と3行目(HDD)を入れ替えて、不要になる3行目(CD)は削除します。
・画面サイズを変更するために、
 3行目に、「-g 1024x768x32」を追加します。
 ただし、これはboot画面限定のようです。

3-16: qemu.bat 編集後

このように変更したら、保存して閉じます。
「qemu.bat」をダブルクリックして実行します。

3-17: qemu.bat 編集後

HDDから起動できました。
画面サイズはやはりboot画面からこの画面に切り替わる時に小さくなってしまいます。

3-18: qemu.bat 編集後

画面サイズをコントロールパネルのモニターで1024x768に設定しました。
デスクトップを整理しました。

4. Mac OS 9.2.2


「Mac OS 9.2.2」というフォルダを作成し、そこにビルドを収めました。
「qemu.bat」はオリジナルの状態から編集した方がやりやすいので、「Mac OS 9.1」からのコピーではなく、「Qemu-Win64-5.1-19-08-2020.zip」を解凍して作成しました。

[CDからの起動]
CDのisoイメージは「Archives」に「Mac OS 9.2.1 CD.iso」として作成済みですので、それを作業フォルダに持って来ます。
名前は「macos921.iso」に変更します。

4-2

作業フォルダ内で下記コマンドを実行してHDDを作成します。
  qemu-img.exe create -f raw -o size=2G macos922.img


CDとHDDが準備されました。
「qemu.bat」を「編集」で開きます。

4-4

このように変更したら保存して閉じます。
「qemu.bat」をダブルクリックして実行します。

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CDから起動しました。

[Mac OS 9.2.1のインストール]
インストールの手順は「Mac OS 9.1」の場合と同様です。
「ドライブ設定」でHDDを初期化して、インストールを行ないます。

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インストールが完了したら「終了」。
「特別」メニューから「システム終了」します。

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「qemu.bat」をこのように変更して、Qemuを再起動します。

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Mac OS 9.1がインストールされました。

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画面サイズを変更し、デスクトップを整理しました。
Mac OS 9.2.1がインストールされました。

[Mac OS 9.2.2へのアップデート]
このままではアップデートが行なえませんので、アップデータの追加インストールが必要です。
Qemuの参考情報の中に以下のような部分があります。

Connecting other CDs or disk images
If you want to install software, make an image of the CD-Rom and attach it to Qemu. Add a disk after the hard disk like below to qemu.bat:
"-drive file=Name-of-CD-image.iso,format=raw,media=cdrom"
or for a second hard disk:
"-drive file=Name-of-hard-disk-image.img,format=raw,media=disk"
And save the file. Start qemu.bat. The CD image (if readable by Mac OS) will appear on the desktop for you to use.

英語が苦手な私の理解が合っているか分かりませんが、ここに書いてあるのはsoftwareの入ったCDから作成するCD-image(iso)やQemuで作成するhard-disk-image(img)を追加する方法であって、一般のsoftwareの追加インストールに関する説明ではないと思います。

しかしながら、CDではない一般のデータの追加インストールについてもCD-image(iso)イメージを作成することにしました。

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MacBook Late 2008のMac OS X 10.9環境で作業を行ないます。
「Install」フォルダを作成し「Japanese (J)-Mac_OS_9.2.2_Update.smi.bin」を置きます。
ディスクユーティリティを起動して、フォルダからの新規イメージ作成で「Install」フォルダのハイブリッドイメージを作成します。
「Install.dmg」が作成されますので、拡張子をisoに変更します。

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「qemu.bat」の3行目に上記のように「Install.iso」を追加して、Qemuを起動します。

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「Install」がマウントされますので、対象のファイルを解凍してアップデートを実行します。

4-13

Mac OS 9.2.2にアップデートされました。

5. Mac OS X 10.0


「Mac OS X 10.0」というフォルダを作成し、そこにビルドを収めました。
「qemu.bat」はオリジナルの状態から編集した方がやりやすいので、「Qemu-Win64-5.1-19-08-2020.zip」を解凍して作成しました。

[CDからの起動]
CDのisoイメージは「Archives」に「Mac OS X 10.0 Install CD.iso」として作成済みですので、それを作業フォルダに持って来ます。
名前は「macosx100.iso」に変更します。

5-2

作業フォルダ内で下記コマンドを実行してHDDを作成します。
  qemu-img.exe create -f raw -o size=2G macosx100.img


CDとHDDが準備されました。
「qemu.bat」を「編集」で開きます。

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isoファイル名、imgファイル名を「macosx100.iso」、「macosx100.img」に変更します。
あと、1行目にある「via=pmu」を「via=cuda」に変更します
このようにしておかないと、起動した画面上にカーソルが現われない、カーソルの動きが変になる、キーボードからの入力ができないなど、いろんな目に合います。
この対応策はフォーラムの記事の中から見つけ出しましたが、この変数の意味するところなどは分かりません。
変更が終わったら「qemu.bat」を保存して閉じ、ダブルクリックで実行します。

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しばらくこの状態が続きますが、

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[Mac OS X 10.0のインストール]
言語の選択画面になります。
設定で「via=cuda」にしておかないと、この状態のまま何もできません。
「主に日本語を使用する」を選択して、「Continue」。

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ここでは「Installer」メニューから「Disk Utility」を開きます。
このまま「続ける」と、インストール先のHDDがないので、戻れなくなってしまいます。

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「Drive Setup」から「/dev/disk0」を選択して、「パーティション」を選択。
「名前」は、なぜかここでは変更が有効にならないので「Untitled」のままにしておきます。
「タイプ」から「Mac OS 拡張」を選択して、「パーティション」を実行します。
「Disk Utility」を終了して元の画面に戻り、「続ける」。

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この画面になったら、インストール先に「Untitled」を選択して、「続ける」。

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「インストール」する前に「カスタマイズ」を開いて、
不要な「Additional Print Drivers」は「スキップ」して「インストール」。

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インストールが始まるまでの準備に時間がかかります。
インストールが終了すると再起動してQEMU画面が開きますが、スタックするので閉じます。

[HDDからの起動]

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「qemu.bat」を開き、「macosx100.iso」(CD)の行を削除します。
1行目の「boot -d」を「boot -c」に変更して、「macosx.img」(HDD)から起動させます。
さらに、アップデートを追加インストトールするための「Install.iso」を3行目に追加します。
「Install.iso」はMac OS 9.2.2の場合と同様の手順で、「Archives」内の「Mac OS X 10.0.4 UpdateCom.dmg」から作成したものです。
以上の内容で保存して閉じ、「qemu.bat」をダブルクリックで実行します。

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ここは、「続ける」、「続ける」で構いません。

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設定の途中で左下の変換メニュー画面が消えて日本語入力ができなくなりましたが、「戻る」で一旦前の画面に戻って「続ける」で作業が継続できました。

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すべての設定を終了すると、デスクトップが現われます。
「Install」もマウントされています。

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「Install」を開いてアップデートを解凍して、pkgファイルをダブルクリックで実行します。

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最後の最適化のプロセスがけっこう長く続きます。
終了したら自動で再起動がかかりますが、スタックするので画面を閉じて強制終了します。

5-24

「qemu.bat」を開き、「Install.iso」の行を削除して起動します。

5-25

起動ボリュームの名前を「macosx100」に変更します。
システム環境設定の「ディスプレイ」で画面サイズを「1024x768」に変更しました。
Mac OS X 10.0.4にアップデートされています。

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VAIO上ではこのような状態になっています。

6. 考察

追加インストール用のisoイメージを、Macのディスクユーティリティを使用せず、VAIO環境で作成する方法を考えてみました。

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ImgBurnに「ファイル/フォルダーからイメージファイルを作成」というメニューがあります。
クリックします。

6-2

「入力元」に作業フォルダに置いた「Install」フォルダを選択。
「出力先」は作業フォルダで名前を「Install.iso」とします。

6-3

「オプション」の「ファイルシステム」は「ISO9660」を選択します。

6-4

「制限」の「ISO9660」は「レベル2 - 31文字」を選択します。

6-5

この状態で、左下にある絵のアイコンをクリックします。

6-6

isoイメージが書き出されました。

6-7

Qemuで起動すると、「INSTALL(.iso)」としてマウントされました。

6-8

ファイル名の表示もファイルの認識も問題ないようです。

7. まとめ

Qemuに一般のデータを追加インストールするには、対象データを「Install」フォルダにまとめ、そのフォルダのisoイメージを作成すればよいことが分かりました。
ただ、SheepShaverの「This PC」のような機能が無いので、「Archives」データに直接アクセスすることはできません。
そのマイナス面と比較すると、Mac OS 9.1や9.2.2にする優位性はあまりないように思います。


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