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ピアノ自動演奏ユニット

YAMAHA PPC3Rをいつまでも楽しむために

このページの構成

  1. まえがき (PPC3Rについて)
  2. 再生できるデータ(1) 2DDフロッピーディスク
  3. 再生できるデータ(2) MIDIデータ
  4. MIDI/E-SEQデータ編集用ツール
  5. 2DDフロッピーディスク「My Favorite」の作成
  6. フロッピーディスクの複製について
  7. PPC3Rの修理
  8. その他

1. まえがき (PPC3Rについて)

WX3AWn
自動演奏ユニットPPC3R

ウォルナットのWX3AWnと自動演奏ユニットPPC3Rという組み合わせで使用しています。
PPC3RはYAMAHAの自動演奏ユニットとしては今や最も古い型式のものとなります。
既に2回修理を受けましたが、このユニットが打鍵で奏でるアコースティック音をいつまでも聴き続けたいものです。
今後に備えて、PPC3Rで再生できるデータの入手方法や再生方法について備忘録的に整理しておくことにしました。
お役に立てていただける部分があれば幸いです。

2. 再生できるデータ(1) 2DDフロッピーディスク

自動演奏ピアノで再生できるMIDIデータ(市販ソフト)の入手方法がヤマハのホームページに書かれています。
 [参考情報]自動演奏ピアノで再生できるMIDIデータ - ヤマハ
PPC3Rに関しては2DDのフロッピーディスクが以下の2つの方法で入手可能です。

1. 上記ページにある「FD直送サービス」を利用する方法
商品カタログリストの中からデータタイプがPS(ピアノソフト)のものを選んで、FAX注文用紙を送信して代引きで商品を受け取るシステムになっています。

商品カタログリスト(例)
FAX注文用紙

2. 「Muma」を利用する方法
Muma端末が設置してある楽器店に行けば、商品の検索→注文→代金の支払い→商品の受取まで、1.と同様のことがその場で行なえます。

FD直送サービス利用
Muma利用

ただ、詳しい内容は分かりませんが、FD直送サービスとMumaでは扱っているデータ形式が異なり、同一のものではないようです。
 FD直送サービス --- E-SEQと呼ばれるヤマハ独自のフォーマット形式
 Muma --- SMFフォーマット形式

3. 再生できるデータ(2) MIDIデータ

ヤマハのサポートにWebフォームで問い合わせをしたところ、PPC3RのMIDI端子をコンピュータに接続すれば、「ヤマハミュージックデータショップ」のデータタイプ「ディスクラビアプレミアム ピアノソフトソロ」のMIDIデータも再生できることが分かりました。
尚、「Muma」で扱っている「ディスクラビア専用データ ピアノソフトソロ」も対象となりますが、製作元が異なり、同じ楽曲名でもアレンジが異なるなど全く同じ内容ではないようです。
 [参考情報]楽器お問い合わせ - ヤマハ
ここでは、「ヤマハミュージックデータショップ」の「ディスクラビアプレミアム ピアノソフトソロ」について説明します。

ヤマハミュージックデータショップ(検索画面)

2514件(2019年3月時点)の中からジャンルやアーティストから絞り込んでデータを検索します。

ヤマハミュージックデータショップ(購入画面)

データをカートに入れて購入し、ダウンロードします。

ダウンロードしたMIDIデータをPPC3Rで再生するには、以下のことを行なう必要があります。
 ・コンピュータとPPC3RをUSBインターフェースUX-16で接続する
 ・MidRadio Playerをインストールする
 ・USB-MIDI Driverをインストールする
それぞれの方法がヤマハのホームページに分かり易く解説されていますので、お使いの環境に合わせて設定を行なってください。
 [参考情報]コンピューターとMIDI接続するにはどうすればよいですか? - ヤマハ
 [参考情報]MIDIデータをピアノで自動演奏させるための再生ソフトはありますか? - ヤマハ
 [参考情報]USB-MIDI Driver ダウンロード - ヤマハ

UX16(生産完了品)は中古市場より入手可能
MidRadio Playerは無償ダウンロード

MidRadio Player オプション設定画面

!!!!!!! ここがポイント !!!!!!!
PCC3Rで再生させるためには、上の絵のように使用するMIDIデバイスとしてUX16(Yamaha UX16-1)を選んでおく必要があります。
UX16が認識されていない場合は、機器の接続やDriverについて再度確認してください。

!!!!!!! ここがポイント !!!!!!!
また、UX16をPPC3RのMIDI端子に接続する時、INとOUTを間違えないようにしてください。
UX16のOUTケーブルをPPC3RのIN端子に、UX16のINケーブルをPPC3RのOUT端子に接続します。
私は、間違えてしまいました。

4. MIDI/E-SEQデータ編集用ツール

更に、MIDIデータからPPC3R用の2DDフロッピーディスクを作成する場合などに使用できる、大変便利な編集ツールがあります。
この記事を書くにあたっては"takakundesu"さんの投稿内容を参考にさせていただいています。
"takakundesu"さん、ありがとうございます。
 [参考情報]自動演奏ピアノで…。 - BIGLOBEなんでも相談室
The Disklavier Utilities Programs (dkvutils)の情報元です。
 [参考情報]Music Software and Utilities
dkvutilsは下記の場所からダウンロードが可能です。
 [参考情報]Software Utilities for Downloading

各プログラムの具体的な使い方については、次の「5. 2DDフロッピーディスク「My Favorite」の作成」で解説することにして、ここではdkvutilsの構成について簡単に説明しておきます。

【dkvutils.txt】
 各プログラムの英文解説です。

【dkvcopy.exe】
 2DDフロッピーディスクの複製を作成するプログラム。
 DOS上で動くプログラムです。

【EEXPLORE.EXE】
 E-SEQ Explorerの略。
 E-SEQデータの編集を行ないます。

【ESEQ2MID.EXE】
 E-SEQデータ(.FIL)をMIDIデータ(.MID)に変換するプログラム。
 ファイルをプログラムアイコン上にドロップするだけで変換ファイルが作成されます。

【MID2ESEQ.EXE】
 MIDIデータ(.MID)をE-SEQデータ(.FIL)に変換するプログラム。
 ファイルをプログラムアイコン上にドロップするだけで変換ファイルが作成されます。

【Veloset.exe】
 MIDIデータ(あるいはE-SEQデータ)の音量を調整するプログラム。

以上です。

5. 2DDフロッピーディスク「My Favorite」の作成

ここではdkvutilsを使って、お気に入りのピアノ曲4曲を集めた「My Favorite」という名前の2DDフロッピーディスクを作成してみます。
以下、その手順です。

【2DDフロッピーディスクの初期化】
2DDフロッピーディスクはネットショップやネットオークションで比較的簡単に入手可能です。
入手したフロッピーディスクは以下のような方法でDOS形式にフォーマットしておく必要があります。
私の場合、2DDに対応したフロッピーディスクドライブを内蔵した古いMacがあったので、フロッピーディスクを装着して「DOS 720K」でフォーマットしました。
そのような特別な環境がない場合は、2DD対応(3モード)のUSB外付けフロッピーディスクドライブが必要になります。
フロッピーディスクドライブにフロッピーディスクを装着し、Windows機であればスタートボタンの「ファイル名を指定して実行」より以下のコマンドを実行します。
  FORMAT A: /t:80 /n:9

フォーマットのコマンド実行

フォーマット終了

尚、この状態でフロッピーディスクをPPC3Rに読ませてみると「コノディスクハ ツカエマセン。トウロク ヲ シテクダサイ。」となりますが、それで構いません。
次に進みます。

【お気に入りのMIDIデータを集める】
フロッピーディスクに入れたいMIDIデータを、どこか作業しやすいフォルダに集めます。

お気に入りのMIDIデータ

ここでは、この4曲としました。
私は分かりやすいように、ダウンロードしてきたMIDIデータのファイル名の後にハイフン(-)に続けて曲名を付けるようにしています。

【MIDIデータをE-SEQデータに変換する】
各MIDIデータ(.MIDファイル)をMID2ESEQ.EXEのアイコン上にドロップします。

MIDIデータのE-SEQデータへの変換

各MIDIデータ(.MIDファイル)がE-SEQデータ(.FILファイル)に変換されています。

【E-SEQデータを編集する】
「E-SEQ folder」というフォルダを作成し、そこに4つのE-SEQデータ(.FILファイル)を集めます。

E-SEQ folder内

ここで、EEXPLORE.EXEを起動します。

E-SEQ folderの選択

E-SEQデータの入ったフォルダを参照するように要求されますので、
「E-SEQ folder」を選択して「OK」とします。

EEXPLORE編集前

PIANODIR.FILというディレクトリが自動生成されますがフォルダの絵に×印が付いています。
各曲のファイル名の頭にも?が付いていて、ディレクトリに未登録であることを示しています。
以下の要領で編集を行ないます。
 1. 再生したい順に曲名を右クリックして「Add Song(s) to Index」で登録していきます。
 2. 同様に右クリックの「Song Properties」でTitleなどを編集できます。
 3. 順序を変更したい時は「Remove Song(s) from Index」で登録を一旦解除します。
 4. 最後にPIANODIR.FILを右クリックして「Disk Title」からTitleを付けます。

EEXPLORE編集後

こんな感じに編集します。
曲は上から順に再生されることになります。

【再生音量の調整】
Veloset.exeを実行し、音量を調節する.MILファイルを開きます。
左右にあるバーでmin音量とmax音量を調整して、PPC3Rでの再生に適した音量(min:50以上〜max70以下を目安)に設定します。

音量調整前
音量調整後

【フロッピーディスクへの書き込み】
初期化フォーマットしておいたフロッピーディスクをフロッピーディスクドライブに装着し、「E-SEQ folder」内にある5つの.FILファイルをフロッピーディスクにコピーします。
以上で、PPC3R用2DDフロッピーディスク「My Favorite」の完成です。

My Favorite スタート
1曲目を再生

PPC3Rにフロッピーディスクを装着して再生成功です。

6. フロッピーディスクの複製について

フロッピーディスクの寿命は種類にもよりますが数年と言われています。
なので、FD直送サービスやMumaで購入した商品、あるいはPPC3Rで演奏収録した昔のフロッピーディスクなどは早めにバックアップを取っておきたいものです。
ところが、それらはE-SEQあるいはSMFという特殊な形式でフォーマットされており、コンピュータに直接読み込むことが出来ないので少し厄介です。
フロッピーディスクの複製を行なう方法は、調べた範囲では以下の2つとなります。

1. dkvutilsの【dkvcopy.exe】を用いる方法
ただし、dkvcopy.exeは前に述べたようにDOS環境のみで実行できるプログラムです。
私にはその環境が無いので試していません。
可能な方は上記の情報を参考にして挑戦してみてください。

2. PPC3Rでの再生内容をコンピュータ側で記録する方法
これにはMIDIデータを記録できる編集用のシーケンスソフトが必要になります。
(MidRadio Playerは再生専用のシーケンスソフトです。)
ヤマハ特約店で扱っているSteinberg社製のCubaseがありますが、これは専門家向け仕様です。
私はフリーでオープンソースのMIDI編集ソフト『世界樹』を使用しました。
MIDIデータとしてコンピュータ上にバックアップを取っておくのであればこのままでも構いません。
MIDIデータをフロッピーディスクに収める手順は「5. 2DDフロッピーディスク「My Favorite」の作成」と同じになります。

以下はその世界樹での説明となりますが、ここでは必要最低限の設定で話を進めています。
世界樹の「ヘルプ」メニューからは「取扱説明書(PDF)」がダウンロードできます。
細かい設定に関してはそれを参考にしてください。

【『世界樹』の設定】
世界樹をインストールします。最新バージョンは2019/03時点で5.6です。
PPC3RとコンピュータをUX16で接続したら、PPC3Rの電源を入れます。
世界樹を起動します。

世界樹の設定 - MIDIデバイスとインストゥルメント

「設定」メニューから「MIDIデバイスとインストゥルメント」を選びます。

世界樹の設定 - MIDI入力デバイス

「MIDI入力デバイス」にUX16(Yamaha UX16-1)を選択します。

【PPC3Rで再生しながら世界樹で記録する】
複製を作成したいフロッピーディスクをPPC3Rにセットします。
世界樹の赤丸ボタン(リアルタイム入力/停止)を押して記録を開始します。
それに続けてすぐにPPC3R側の再生を始めます。

世界樹で記録中

記録中はこのような画面になります。
再生が終わったら、また赤丸ボタンを押して記録を停止します。
世界樹の「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選んで、例えば「守ってあげたい.mid」として保存します。

世界樹で保存

これで、「守ってあげたい.mid」というMIDIデータが作成されました。

【フロッピーディスクの作成】
あとは、「5. 2DDフロッピーディスク「My Favorite」の作成」と同じ手順となります。
作成したMIDIデータを編集して、複製のフロッピーディスクを作成します。

7. PPC3Rの修理

2回の修理を受けながらも、もう30年以上も作動していることがスゴイと思います。
2回目は2年ほど前で、ヤマハのカスタマーサポートに問い合わせて、東日本サービスセンターから修理に来ていただきました。
 [参考情報]修理ご相談、センター紹介 - ヤマハ
全く動かなかったPPC3Rがプロの見立てと腕前で見事に音を奏でた時は感動でした。
この古い機器がいつまで動くかは分かりませんが、私とどちらが長生きするか競争していきたいと思います。

8. その他

説明が不十分な点や間違っている部分があるかも知れませんが、ご容赦ください。


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