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2. PowerBook G3 Pismo

2-7. Mac OS 8.6の起動

このページの内容

  1. PismoとBondi
  2. 参考情報について
  3. 起動イメージの準備
  4. Mac OS ROM データフォーク
  5. Mac OS ROM リソースフォーク
  6. Mac OS 8.6 起動 (未決)
  7. Mac OS 8.6 起動
  8. Mac OS 8.6 起動 (再発)

1. PismoとBondi

さて、PismoにMac OS 9.0〜Mac OS X 10.4がインストールできることは確認済みです。
また、SE/30では漢字Talk6.0.7〜Mac OS 8.1のインストールが確認できています。
そうなると、あと私が昔使っていたOSで再現できないものはMac OS 8.6(8.5)のみとなります。
最後に残ったボリューム「Work2」にMac OS 8.6が載せられないか試してみました。

1-1: PismoとBondi

ちなみに、Mac OS 8.6はiMacの初代Bondiで使用していました。
Bondiもなかなか面白いマシンでした。
この写真は、Pismoの力も借りてBondiでTigerの起動に成功した時の感動の一枚です。
BondiとPismoは長いこと共存していましたが、Bondiの方は今はもう手元にはありません。

2. 参考情報について

今回「PismoでMac OS 8.6を走らせる」ために、参考にさせていただいたフォーラム記事が2つあります。

1つ目は、MacRumorsにおけるLightBulbFunさんの投稿記事です。Thanks LightBulbFun-san !
投稿記事#1にあるように、Sawtooth(Power Mac G4 AGPの開発コード)のMac OS 8.6 イメージを使用して、OF(Open Firmware)やMac OS ROMの"Compatible" 情報をPismoに合わせて書き変える方法が書かれています。

2つ目は、ThinkClassicにおけるiMicさんの投稿記事です。Thanks iMic-san !
対象はG4マシンでMac OS 9を起動する場合になりますが、OFを使用せずMac OS ROMの修正だけで対応する方法が、投稿記事#1や#22に大変詳しく書かれています。
絵や説明も分かりやすく、私もこういう記事の書き方をしたいと思いました。

3. 起動イメージの準備

3-1: Software Install CD
   J691-2460-A
3-2: Software Restore CD
   J691-2461-A

中古市場を探して、Power Mac G4 AGP用のインストールCDを入手しました。
今回使用する Mac OS 8.6のディスクイメージはSoftware Restore CDの方に入っています。

3-3

Software Restore CDをドライブに挿入します。
マウントされた「Power Mac G4」の中に「構成ファイル」というフォルダがあり、そこに「Power Mac G4 HD.img」があります。
これが、Mac OS 8.6のディスクイメージです。
ボリューム「Work2」の名前を「Mac OS 8.6」に変更しておきます。

3-4

「Apple ソフトウェア リストア」をダブルクリックします。
「構成ファイル」に「Power Mac G4 HD.img」が現われます。
「リストア先のディスク:」に「Mac OS 8.6」を選んで「リストア」を実行します。

3-5

リストアが終了するとこの画面が表示されますので「終了」します。

3-6

ボリューム名が「Macintosh HD」に変更されてしまいますので、

3-7

「Mac OS 8.6」に戻しておきます。

3-8

不要なものをゴミ箱に入れ、準備完了です。

4. Mac OS ROM データフォーク

4-1

「Mac OS 8.6」の「システムフォルダ」を開くと、「Mac OS ROM」があります。
この「Mac OS ROM」の情報をPismoと"Compatible"になるように編集していきます。

4-2

その前に、「ROM-original」と「ROM-new」というフォルダを新たに作成し、それぞれにオリジナルの「Mac OS ROM」とそのコピーを入れておきます。
作業を分かりやすくするのと、オリジナルのデータを間違って壊してしまわないためです。
それでは、データフォークから編集を行ないます。

後述のリソースフォークの編集をResEditで行なうため、データフォークの編集もMac OS版のものを探しました。
Vectorに「DEdit 1.1.0」という至ってシンプルなフリーソフトがあったので こちら からダウンロードして、「PowerBook G3」に置きました。

4-3
4-4

「DEdit 1.1.0」を起動して「File」メニューの「Open...」から「ROM-new」の「Mac OS ROM」を開きます。

4-5

メモリサイズが不足しているというメッセージが出ました。

4-6: 変更前
4-7: 変更後

「ファイル」メニューの「情報を見る」から「メモリ」を選択します。
メモリの「最小サイズ」と「使用サイズ」をこのように変更しました。

以下、「ROM-new」の「Mac OS ROM」をDEditで開いて、編集を行なっていきます。
参考のために左側にはoriginal(変更前)の内容を示しておきます。

4-8: original 000000-
4-9: new 000000-

<COMPATIBLE>. と .</COMPATIBLE>の間に、対象機種のIDが記述されています。
originalは、「iMac,1 PowerMac1,1 PowerBook1,1 PowerMac2,1 PowerMac3,1 PowerBook2,1」の6つの機種IDがブランクを挟んで並んでいます。
これを、newでは「MacRISC MacRISC2 MacRISC3 MacRISC4 Classic」の5つのグループ要素に変更します。
iMicさんの場合は、実際にこれらすべてのシステムに対して有効なGeneric ROMを形成してMac OS 9の起動を実現していますが、ここではその機種判定の部分のみを利用させてもらいます。
以下は、iMicさんの記事に載っていた、各システムの定義です。
 MacRISC - Most OldWorld PowerPC Macintosh systems and possibly clones.
 MacRISC2 - NewWorld PowerPC systems manufactured prior to the Mac OS X switch.
 MacRISC3 - NewWorld PowerPC systems designed to only boot into Mac OS X.
 MacRISC4 - PowerPC 970 "G5" based Macintosh computers.
 Classic - The Mac OS X Classic Environment.

4-10: original 002100-
4-11: new 002100-

002100行目付近から、実際にCompatibleの判定を行なっている部分が始まります。
既に変更を加えた関係で、その分だけ位置がずれています。
まず、1番目の対象機種の部分を変更します。
「 imac,1」→「 macrisc」です。
ここでは小文字にすること、頭にブランクが入っていることに注意します。

4-12: original 002200-
4-13: new 002200-

002200行目付近です。
同様に、2番目以降の対象機種の部分を変更します。
2番目 「 powermac1,1」→「 macrisc2」
3番目 「 powerbook1,1」→「 macrisc3」
4番目 「 powermac2,1」→「 macrisc4」

4-14: original 002300-
4-15: new 002300

002300行目付近です。
5番目 「 powermac3,1」→「 classic」
6番目 「 powerbook2,1」はnewにおいて対応するものがないので、1セットになっている「2dup " powerbook2,1" $= r&gt; or &gt;r.  」(最後にブランク2つ)ごと削除します。

4-16: original 002400-
4-17: new 002400

002400行目付近です。
編集を加えたことによってチェックサムエラーが発生しますので、それを回避するために、
「if  ." , checksum error". 」の後にある「abort」を「clear」に変更します。
「clear」は他の5文字でも構いませんが、ここでは分かりやすく「clear」としました。

4-18: original 003700-
4-19: new 003700

003700行目付近です。
このあたりから空白スペースが並んだ領域になります。
編集を加えたことによって全体のバイト数が変わってはいけないというルールがあるので、それをこの空白領域で調整します。
originalのバイト数は「371FE8」ですが、編集を終えた時点ではnewのバイト数はそれより少なくなっているはずです。

4-20

適当な空白領域を選んだ状態で、DEditの「Edit」メニューから「Insert 16 Bytes」や「Insert Byte」を実行して、バイト数がぴったり「371FE8」となるように調整します。

「File」メニューから「Save」します。
以上で編集作業終了です。

5. Mac OS ROM リソースフォーク

リソースフォークの編集には定番のResEditを使用します。
SE/30でも使用している「ResEdit 2.3.1J」を「PowerBook G3」に置きました。

5-1

「ResEdit 2.3.1J」を起動し、「ファイル」メニューの「開く...」から「ROM-new」の「Mac OS ROM」を開きます。

5-2

リソース「btbl」をダブルクリックで開き、さらに「ID=0」をダブルクリックで開きます。
小さくて見にくいので、拡大した絵で説明します。

5-3

「btbl」はConpatibleな機種IDを定義しているリソースですが、見て分かるようにここには上のデータフォークで変更した内容は反映されておらず、originalのままです。
したがって、ここも同じ内容で変更を行なう必要があります。
ただし、編集に際してはあるルールに従わなければなりません。
要素の頭にその要素の文字数を2桁の16進数で宣言しなければならないことです。
例えば、1番目の要素「iMac,1」の文字数は6ですので、それを表す「06」が頭に付いています。
6番目の「PowerBook2,1」の文字数は「0C」(12文字)と宣言されています。

5-4

このルールに従って、newの「btbl」の内容を書き換えるとこのようになります。

「ファイル」メニューから「保存」を行ない、ウィンドウを閉じます。
以上で編集作業終了です。

6. Mac OS 8.6 起動 (未決)

6-1

「ROM-new」の「Mac OS ROM」を「システムフォルダ」のアイコンにドラッグします。

6-2

「システムフォルダ」に「Mac OS ROM」が入ったことを確認して、ウィンドウを閉じます。

6-3

「コントロールパネル」の「起動ディスク」で「Mac OS 8.6」を選びます。
これで、準備完了です。
「特別」メニューから「再起動」を選びます。

6-4

ハッピーアイコンです。

6-5

Mac OS 8.6が、

6-6

起動しています。

6-7

アイコンパレードです。

6-8

しかし、この青い画面が一瞬表示されると、プツっという少し機械的な音とともに電源が落ちて、画面が真っ暗な状態になってしまいます。
よく見ると、時刻0:04と×の付いた電池マークが表示されています。

再現性は高く、何度やっても確実にこうなります。(時刻は0:01だったり0:02だったりします。)
PRAMリセット、SMCリセット、バッテリーモジュールやドライブモジュールを取り外した状態でも確認しましたが、結果は同じでした。
あと分かっていることは、G4アップグレードや液晶交換の前でも同じ結果になっていたので、それらには関係がないということです。
また、「Mac OS 8.6」も「Mac OS X 10.4S」と同様、Startup Managerでは認識されません。
両方とも真の"SupportedMachines"ではないからかもしれませんが、よく分かりません。

この現象について上記LightBulbFunさんにも投稿して尋ねてみたのですが、"that is strange"ということで、未決の状態です。

7. Mac OS 8.6 起動

突然、起動できるようになりました。
理由はよく分りません。

7-1

アイコンパレードの後に電源が落ちることなく、すんなりとデスクトップ画面が開きました。
これまで約1年半、PRAMリセットやSMCリセットをはじめ、内蔵電池、USB機器や拡張ベイの影響など、ありとあらゆる確認をしても分からなかった問題です。
折しも、LightBulbFunさんからのアドバイスを受けてHDDをCFカードに交換する準備をしていたところでしたが、それを行なう前に勝手に治ってしまった感じです。
彼の経験では、本件に関してはHDDよりCFカードを使う方が安定しているとのこと。
たしかに電源が落ちる時にHDD周辺から聞こえていたプツっという音はしなくなりました。
推測ですが、何らかの理由でHDDの電源を落とすような指令が出ていたのかも知れません。

7-2

原因が分からないままの解決なので、再発のリスクなどは残りますが、取り敢えず。
Pismo上でMac OS 8.6が動くことが確認できました。

7-3

AppleShareで共有サーバにもアクセスできました。
Mac OS 8.6も仲間に入れそうです。

8. Mac OS 8.6 起動 (再発)

恐れていたことが起こってしまいました。
「Mac OS 8.6」のボリュームから起動すると、以前と同じように、アイコンパレードが終わってデスクトップが現われるところで電源が落ちてしまいます。

8-1

落ちる瞬間の画面には、×マークの付いた電池マークが写ってます。

8-2

このあと別のボリュームから起動すると、日付と時刻がリセットされてしまっています。
バッテリーも内蔵電池も正常で、通常の使用状態ではリセットされることはありません。
ここに何かヒントがありそうな気はしています。

ただ、HDDの銘柄や容量制限なども影響しているようで、問題解明には時間がかかりそうです。
また、確認を進めるなかでHDD自体が認識されなくなってしまう事態にも陥りました。
HDDケーブルの交換で何となく復旧しましたが、ロジックボードへの影響なども懸念されます。
念のため、そのようなリスクを伴う作業であることをお伝えしておきます。


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